2024.10.10
近年、葬儀費用を抑えたり、時間的な事情から「直葬」を選ぶ方が増えています。直葬とは、通夜や告別式を行わず、火葬のみを行う葬儀のことです。シンプルで経済的な反面、「親の葬儀としてふさわしいのか?」や「自分の終活で直葬を準備して後悔しないだろうか?」という不安を抱える方も多いでしょう。今回は、直葬を選んだ場合に後悔するケースや、気をつけたいポイントについて、親の葬儀と自分の葬儀に分けてお話しします。
親の葬儀を直葬にする際、経済的な理由やスケジュールの都合で選ぶ方も多いですが、後悔することもあります。いくつかの事例を挙げてみましょう。
直葬では、通夜や告別式のようなゆっくりと故人とのお別れをする時間がありません。火葬場での短い時間しかないため、「もっと感謝の気持ちを伝えたかった」「もう少し親と向き合いたかった」という後悔が残ることがあります。特に、親との関係が深かった場合、心の整理が十分につかないことが原因で後悔する人も少なくありません。
直葬を選ぶと、親族や故人の友人などから「なぜ通夜や告別式をしなかったのか」という疑問や批判を受けることもあります。故人のことをもっと丁寧に送り出したいと思っていた人たちに対して、十分に説明や配慮ができていない場合、周囲からの理解不足によって悔いが残ることもあります。
親が亡くなった直後は、感情が整理できないまま進行することが多く、特に時間が限られていると葬儀を簡略化する選択をしやすいです。しかし、時間が経ち心の余裕ができたときに、「もっとしっかり見送ればよかった」と思う人が増えます。葬儀が親の人生を振り返る機会であることを考えると、後になって親の人生に相応しい儀式をしなかったと感じ、後悔が生じることがあるのです。
終活を考える中で、直葬を希望する方も多いです。シンプルで負担が少ない一方で、自分の葬儀についての後悔や不安も考えられます。
「家族に負担をかけたくない」という思いから直葬を選ぶ方は多いです。しかし、残された家族が「もっとちゃんとお別れをしたかった」と感じることがあると、逆に家族に心の負担を与えてしまう可能性があります。特に、直葬では家族が故人とゆっくり過ごす時間が少なくなるため、「葬儀をもっと慎重に考えておけばよかった」と後悔することも考えられます。
直葬では、参列者を呼ぶことが難しい場合が多く、親しい友人 や遠い親戚などが葬儀に参列できないことがあります。特に、親族や友人が多い場合、彼らに十分な弔いの機会を提供できなかったという点が後悔につながるかもしれません。「あの人にお別れをしてもらいたかった」と思うことが後になって湧き上がる可能性があります。
葬儀は、自分の人生を振り返り、周囲の人たちに感謝を伝える場でもあります。直葬ではその機会が限られてしまうため、自分の思いが十分に伝わらないことに対して不安を感じるかもしれません。終活として直葬を選んでも、やはり周囲とのつながりを大切にしたいと思う方は、後悔が残る場合もあるでしょう。
直葬を選んだ後に後悔するケースは、親の葬儀や自分の終活いずれの場合でも少なくありません。しかし、どのような選択をするにせよ、一番大切なのは自分の気持ちを整理し、しっかりと考えることです。葬儀は一つの形式であり、誰かに強制されるものではありません。 例えば、親の葬儀で直葬を選んでも、後日親族だけで集まって故人を偲ぶ会を開いたり、自分ができる範囲でのお別れの方法を考えることができます。また、自分の終活でも、家族に事前に希望を伝えておき、お別れの仕方についてしっかり話し合っておくことで、後悔を減らすことができるでしょう。 最後に、どの選択が正解というものはありません。大切なのは、自分や家族が心から納得できる形で葬儀を選び、後悔のないように決断することです。葬儀の形に囚われすぎず、自分の気持ちに素直に向き合うことが、後悔を減らす鍵となるでしょう。
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