神葬祭とは?玉串奉奠って何?徹底解説!

2024.10.31

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  • 宗教

日本の伝統的な宗教である神道には、故人や神々に敬意を示し祈るための儀式が数多く存在します。その中でも「神葬祭(しんそうさい)」と「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」は特に重要な儀式です。神葬祭は、故人を神道の形式で弔い、祖霊として祀る葬儀の一種で、仏教の葬儀とは異なる神道特有の死生観に基づいて行われます。一方、玉串奉奠は、神様や先祖への祈りや感謝を表す儀式で、様々な神道の儀礼で行われる神聖な行為です。 本記事では、「神葬祭」と「玉串奉奠」の意味や目的、具体的な手順、そして仏式の葬儀との違いについて徹底的に解説します。

神葬祭とは?神道における故人を祀る葬儀の意味と流れ

1. 神葬祭の意義と目的

神葬祭とは、神道における葬儀のことで、故人の霊を「祖霊(それい)」として祀り、家族や子孫を見守る神の一員として迎え入れる儀式です。日本では仏教の葬儀が一般的ですが、神道に基づく神葬祭は、故人が守護神となり、家族や子孫を見守る存在になるとされています。これは仏教の「輪廻転生」や「成仏」といった考え方とは異なり、故人を神の一員として敬い、祈ることを通して祖先や故人と神様の力をいただくとされる神道独自の死生観に基づいています。

2. 神葬祭の流れ

神葬祭は、いくつかの儀式を順に行うことで進められます。以下に一般的な神葬祭の流れを解説します。 ・枕直しの儀:亡くなった直後、故人の枕元に榊(さかき)を立てて清浄を祈ります。神道では死を穢れと捉えますが、この儀式で故人を清め、神の御前にふさわしい存在とする意味があります。 ・納棺の儀:故人を清めたのち、清浄な形で棺に納める儀式です。ここでも榊や塩といった清浄を象徴する道具が使われ、故人を敬いながら棺に安置します。 ・通夜祭:仏式の通夜にあたるもので、故人と最後の夜を共に過ごすため、遺族や参列者が集まります。神主が神道の経文を唱え、故人の魂が安らかに昇るよう祈ります。 ・遷霊祭(せんれいさい):神葬祭で最も重要な儀式の一つで、遺体から故人の霊を「霊璽(れいじ)」と呼ばれる木札に移し、清らかな形で安置します。この霊璽には故人の霊が宿るとされ、後に家に戻り、家族の守り神として祀られます。 ・葬場祭(そうじょうさい):故人を送り出す中心的な儀式で、神主が祝詞(のりと)を奏上し、玉串奉奠を行い、故人の霊が神として迎え入れられるよう祈りを捧げます。 ・火葬・埋葬の儀:故人を火葬または土葬します。神道の火葬においても清浄が重要視され、伝統的に遺骨は「奥津城(おくつき)」と呼ばれる墓に安置されます。 ・帰家祭(きかさい):家に戻った後、故人の霊を家で祀り、再度安らかな眠りを祈る儀式です。霊璽は神棚や霊前に安置され、祖先を見守る神として祀られます。

玉串奉奠とは?神道儀式における祈りの捧げ方

1. 玉串奉奠の意味と目的

「玉串奉奠」は、榊の枝に紙垂(しで)を付けた「玉串」を神前に捧げる神道特有の行為です。玉串奉奠は、神様や先祖への祈りや感謝を表すために行われ、神様と人間との結びつきを深めるための象徴的な儀式とされています。玉串は、神様の依代(よりしろ)として、祈りや願いを込めて神前に置かれ、捧げることで神様との精神的な結びつきを象徴するものです。 神葬祭の葬場祭や、結婚式、地鎮祭、七五三、厄除けの儀式など、日本の神道に基づく様々な行事で玉串奉奠が行われます。それぞれの場面で祈りの目的は異なりますが、神様や先祖と心を通わせるための重要な儀式です。

2. 玉串奉奠の作法

玉串奉奠には、神様に敬意を表し、丁寧に祈りを捧げるための作法が決まっています。以下が一般的な手順です。 1.玉串を受け取る:根元を右手、葉先を左手で持ち、根元が自分の側に来るようにします。これは、自分の祈りが玉串に込められていることを示します。 2.一礼:神前に軽く一礼し、心を込めて神様へ感謝と敬意を示します。 3.回し方:玉串を時計回りに回し、葉先が自分側から神様の方に向くようにします。この動作は、祈りや願いが神様に届くようにと願うものです。 4.捧げる:神前に玉串をそっと置きます。玉串を置く際も丁寧に行い、静かな心で神様に祈りを届けます。 5.二礼二拍手一礼:玉串奉奠の後に「二礼二拍手一礼」の作法を行います。これは神道の基本的な祈りの形で、敬意と祈りを込めた行為です。

神葬祭と仏式葬儀の違い

日本の葬儀では仏式が一般的ですが、神葬祭には仏式とは異なるいくつかの特徴があります。

1. 死生観の違い

神道の死生観:神道では、故人が祖霊として家族を守る守護神になると考えられます。死は「穢れ」とされますが、祓いや玉串奉奠の儀式を通じて清められ、神聖な存在へと昇華されると考えられています。 ・仏教の死生観:仏教の葬儀では、故人の成仏と輪廻転生を願うのが一般的です。死者は生前の行いに応じて浄土に導かれ、安らぎを得るという思想が根底にあります。

2. 儀式の構成

神葬祭:神葬祭では、榊や玉串奉奠など、神道特有の清浄な道具と作法が用いられ、神前で祈りを捧げます。祭壇には清浄さを象徴する白木や榊が飾られ、神様や祖霊に対する敬意が表現されます。 ・仏式の葬儀:仏式では、焼香や読経が中心となり、僧侶が経を唱えて故人の成仏を祈ります。祭壇には果物や花が供えられ、多彩な装飾が施されるのが一般的です。

3. 霊を祀るための道具

神葬祭:神葬祭では「霊璽(れいじ)」と呼ばれる木札を使用し、これを神棚や霊前に安置して祀ります。霊璽は故人の霊が宿る場所とされ、家族や子孫を見守る神として敬われます。 ・仏式の葬儀:仏式では、故人の戒名が記された「位牌」を仏壇に安置し、成仏した故人の供養のために祀ります。

現代における神葬祭の役割と意義

神葬祭は、神道を信仰する家庭や神社関係者、また皇室において古くから行われてきた伝統的な葬儀形式です。戦後の神道分離により仏式の葬儀が主流になりましたが、近年では神葬祭の形式での祖先供養が見直されつつあります。神葬祭を通じて、故人を単なる過去の存在としてではなく、家族や地域を守る守護神として敬うことで、日本独自の祖霊信仰の理解が深まります。

まとめ

「神葬祭」と「玉串奉奠」は、日本の神道儀式において、故人や神様への敬意と祈りを込めた神聖な行為です。神葬祭では故人の霊が祖霊となり、家族を守護する存在として祀られます。また、玉串奉奠は神前に玉串を捧げることで、神様や先祖に感謝と祈りを捧げ、絆を深める儀式です。 仏式の葬儀と異なる神道特有の死生観や儀式の作法を知ることで、日本人の伝統的な精神文化や祖先への敬意の大切さが理解できます。

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