2024.11.1
神社参拝時に行う「手水の儀」は、神社の入り口にある手水舎で手や口を清める、日本の神道における伝統的な作法です。「あの清めの儀式」としておなじみですが、その意味や正しい手順を知らない方もいるかもしれません。今回は手水の儀の目的と手順に加え、神社や寺の参拝方法の違いもあわせてご紹介します。
手水の儀は、神社という神聖な空間に入る前に、外界からの「穢れ(けがれ)」を取り除き、心身を清めるために行います。神道では、清浄な状態で神様に向かい合うことが礼儀とされており、手水の儀にはこの清浄化の意味が込められています。手水は、神道の「禊(みそぎ)」の簡易的な形であり、日常的な参拝において簡単にできる浄化の儀式として広まっています。
手水の儀の手順は以下の通りです。ひ とつずつ確認しながら、清らかな気持ちで行いましょう。 1.右手で柄杓(ひしゃく)を持ち、水を汲む。 2.左手を清める:右手で柄杓を持ったまま、左手に水をかけます。 3.右手を清める:柄杓を左手に持ち替え、今度は右手に水をかけます。 4.口をすすぐ:もう一度柄杓を右手に持ち替え、左手に水をため、その水で口をすすぎます(直接口をつけないよう注意)。 5.もう一度左手を清める:再度左手に水をかけて清めます。 6.柄杓を清める:最後に残った水で柄杓の持ち手を流し、元の位置に戻します。 このように、手水の儀はひとつひとつ丁寧に進めることで、清浄な気持ちで参拝する準備を整えます。
日本では神社と寺、それぞれの宗教施設で異なる参拝作法があります。神社では主に神道の神々が祀られ、寺は仏教の信仰の場とされています。正しい参拝方法を知ることで、礼儀を尽くし、敬意を表すことができます。
神社では「二礼二拍手一礼」の作法で参拝を行います。これは神道特有の儀式的な方法です。 1.鳥居をくぐる前に一礼:鳥居は神域の入り口であり、くぐる前に軽くお辞儀をします。参道の中央は神様の通り道とされているので、道の端を歩くのが礼儀です。 2.手水の儀を行う:手水舎で手と口を清めます。 3.参拝の作法(二礼二拍手一礼): ・お賽銭を入れる ・二礼(深いお辞儀を2回) ・ 二拍手(手を合わせて胸の高さで2回拍手を打つ) ・祈願(心の中で願い事を伝える) ・一礼(最後にもう一度深くお辞儀) 鳥居を出る前に一礼:参拝後、鳥居を出る際に再度一礼してから神社を後にします。
寺では「合掌」と「一礼」を基本とした、仏教に基づく静かな参拝が特徴です。 1.山門で一礼:寺の入口である山門をくぐる前に軽くお辞儀します。 2.手水の儀(手水舎で清める):手水舎がある場合は手と口を清めますが、省略する寺もあるので案内に従います。 3.参拝の作法(一礼・合掌): お賽銭を入れる 合掌して静かに一礼 祈願(心の中で感謝や祈りを伝える) 再度一礼 山門を出る前に一礼:寺を出るときも、山門を出た後に軽く一礼します。
項目 | 神社 | 寺 |
---|---|---|
入口 | 鳥居をくぐる前に一礼 | 山門で一礼 |
手水 | 必須 | 必須だが省略可 |
参拝作法 | 二礼二拍手一礼 | 一礼・合掌 |
拍手 | あり(2回) | なし |
退出時の礼 | 鳥居で一礼 | 山門で一礼 |
参拝は礼儀と敬意をもって行うことが大切です。以下のポイントに気を付けて参拝しましょう。 ・服装に気を配る:カジュアルすぎる格好や派手な服装は避け、節度を保った服装で参拝します。 ・静かに行動する:境内では静かに行動し、携帯電話の音を消しておくのがマナーです。 ・写真撮影:神社や寺によっては撮影禁止の場所もあります。注意書きを確認し、ルールに従いましょう。
手水の儀をはじめ、神社と寺の正しい参拝作法を知ることで、日本の伝統的な礼儀作法を理解し、神仏に敬意を表すことができます。清らかな心で正しく参拝を行うことで、心身が整い、心地よい参拝の時間を過ごせるでしょう。 神社や寺を訪れた際には、ぜひこの参拝方法を実践してみてください。
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