【仏教の主要な宗派①】浄土宗について解説!

2024.11.14

    日本の仏教にはさまざまな宗派があり、それぞれの宗派は独自の教え儀式の違いを持っています。 今回は主要な宗派のひとつである浄土宗について解説します!

    浄土宗とは

    浄土宗は、平安時代末期から鎌倉時代にかけて活躍した僧侶・法然上人(ほうねんしょうにん)によって1175年(承安5年)に開かれた仏教の一派です。その中心にあるのは、阿弥陀仏(あみだぶつ)への深い信仰と、「南無阿弥陀仏」と称えるお念仏です。このお念仏によって極楽浄土への往生が叶うとされ、人々が救いを得られる道が説かれています。浄土宗は、すべての人が阿弥陀仏に救いを託し、穏やかで安らかな日々を送ることを理想としています。

    法然上人の生涯と浄土宗の起源

    法然上人は1133年、現在の岡山県に生まれ、幼名を勢至丸(せいしまる)と称されました。幼いころから聡明で知られ、9歳の時、父・時国(ときくに)を失います。時国の最期の言葉は「かたき討ちをせず、出家して父の菩提を弔いなさい」というものでした。この遺言に従い、勢至丸は仏門に入ります。その後、京都の比叡山で修行し、多くの経典を学ぶ中で、法然上人は「人々が本当に救われる道とは何か」を問い続けました。 法然上人は比叡山の奥深くで思索を続ける中、特に『観無量寿経疏(かんむりょうじゅきょうしょ)』に出会い、中国の僧・善導大師(ぜんどうだいし)の「一心に阿弥陀仏の名を称える者は必ず救われる」という教えに強く感銘を受けます。これをきっかけに、法然上人は「南無阿弥陀仏」と称えることで浄土へ往生し、仏道を歩むことができるとの確信を得ました。1175年、法然上人はこの信念をもとに浄土宗を開き、阿弥陀仏への信仰とお念仏を広める活動を始めました。

    浄土宗の教え:阿弥陀仏と極楽浄土

    浄土宗の教えは、阿弥陀仏という仏の「私の国、極楽浄土に往生したいと願う者が皆そこに生まれることができるように」という願いに基づいています。阿弥陀仏は、仏になる以前に立てた「四十八の誓願」の中で「すべての者を救済する」という願いを立てました。その後、極楽浄土を建立し、仏となり、浄土に迎え入れる力を持ち続けているのです。極楽浄土は、悩みや苦しみのない、仏の慈悲が満ちた安らぎの世界であり、阿弥陀仏に帰依する者がそこに往生することで煩悩を解き放ち、仏道を進むことができるとされています。

    お念仏とは

    浄土宗で重要視されるのが「南無阿弥陀仏」と称えるお念仏です。「南無(なむ)」とは、インドの言葉「ナマス」から由来し、「帰依」や「信頼」を意味します。「南無阿弥陀仏」と称えることは、阿弥陀仏に信頼し、その慈悲にすべてをゆだねる心を表しています。お念仏をとなえることで阿弥陀仏の慈悲の心に触れ、阿弥陀仏の力によって極楽浄土に導かれると信じられています。

    極楽浄土への往生

    浄土宗では、死後極楽浄土へ往生することを目指します。お念仏を日々となえることによって阿弥陀仏と結びつき、臨終の時に阿弥陀仏が迎えに来てくださると信じられています。このように、浄土宗の教えでは、現世で修行を積むことが難しい時代や状況の中にあっても、お念仏を唱えることだけで救いの道が開かれるとされています。 極楽浄土では、阿弥陀仏のもとで仏道の真髄を学び、さらなる悟りを目指すことができます。そして、浄土は先に往生した大切な人々と再会できる場所ともされており、これにより死後の不安が和らぐともいわれています。

    法然上人の教えの広まりとその後の発展

    法然上人の「お念仏の教え」は、鎌倉時代の人々にとって画期的なものであり、多くの弟子や信者が彼の教えを支持しました。その一方で、お念仏をもとにした救いの教えが他の宗派から批判を受けることもありました。法然上人は自らの教えが誤解されることを避け、弟子たちに自らの行いを正すよう求めましたが、当時の天台宗などとの間で摩擦が起こり、法然上人は流罪に処されることもありました。法然上人の没後も、弟子たちは教えを広めるために奔走し、後に「鎮西義(ちんぜいぎ)」と呼ばれる流派が浄土宗として整備されました。 現在、総本山は京都にある知恩院で、東京の増上寺、京都の金戒光明寺などが大本山として浄土宗の中心を担っています。知恩院は法然上人の墓所もある浄土宗の聖地で、今もなお多くの人が訪れています。

    お念仏からはじまる安心と安らぎ

    浄土宗の教えでは、人生の悩みや苦しみから離れ、阿弥陀仏の慈悲にすべてをゆだねることで心の安らぎを得ることができるとされています。「南無阿弥陀仏」と称えるお念仏は、私たちが常に阿弥陀仏とつながり、どのような困難の中でも孤独ではないという安心感をもたらします。また、お念仏を通じて仏道を歩むことにより、阿弥陀仏の慈悲の光が自分に注がれ、日々を穏やかに過ごすことができるのです。 阿弥陀仏は死後極楽浄土へと導き、再び大切な人々と会うことができる場所を用意してくださっているとされます。この「お念仏の教え」は、変わることのない普遍的な幸せを目指すものであり、生きるうえで大きな安心をもたらしてくれるものです。

    法然上人の教えを現代に伝える浄土宗

    法然上人の没後800年以上が経ち、今なおその教えは浄土宗の寺院を通して現代に伝えられています。現代の生活の中で、浄土宗は「南無阿弥陀仏」と称えるお念仏の道を進み、人生の苦しみや不安を阿弥陀仏の力で受け入れることで、心の安らぎと幸せを得る方法を提供しています。また、2024年には浄土宗開宗850年を迎えるにあたり、より多くの人々に法然上人の教えが浸透し、誰もが救われる仏道の教えが再び注目されています。

    おわりに

    今回は浄土宗について解説しました。 他の宗派、そして自分の家がどの宗派かを確認する方法については以下の記事をご覧ください!

    【仏教の主要な宗派②】浄土真宗について解説!

    【仏教の主要な宗派③】真言宗について解説!

    【仏教の主要な宗派④】臨済宗について解説!

    【仏教の主要な宗派⑤】曹洞宗について解説!

    【仏教の主要な宗派⑥】日蓮宗について解説!

    あなたの家は何宗?自分の宗派の調べ方を解説

    (参照) https://jodo.or.jp/jodoshu/

    この記事を共有

    • Xでシェア

    • LINEでシェア

    • Facebookでシェア

    一覧に戻る

    他の人はこんな記事も見ています

    タグ一覧

    TOPへ