【仏教の主要な宗派③】真言宗について解説!

2024.11.14

    日本の仏教にはさまざまな宗派があり、それぞれの宗派は独自の教え儀式の違いを持っています。 今回は主要な宗派のひとつである真言宗について解説します!

    (高野山)真言宗とは

    日本の仏教の中でも独自の深遠な教えを持つ「真言宗」は、多様な宗派に分かれ、それぞれに特色ある修行法と信仰が伝えられています。その中で最も有名なのが、高野山真言宗です。弘法大師空海が平安時代に開いたこの宗派は、日本の密教の中心として1200年以上にわたって人々の信仰を集めてきました。高野山の奥深い自然の中で真理を追求し、仏と自分が一体になるという「三密加持」を実践するこの教えには、現代においても学ぶべき多くの要素が詰まっています。

    高野山と弘法大師空海の生涯

    弘法大師空海(774年〜835年)は、讃岐国(現在の香川県)に生まれ、幼少期から信仰心に厚く、七歳の時には「世の人々を救いたい」と祈願して山から身を投げるほど、強い救済の誓いを立てていました。青年期には儒学や漢学を学びましたが、それが人々の救済に繋がらないと感じ、出家の道を選びます。のちに空海は31歳で唐(中国)へ渡り、密教の第七祖であった恵果和尚(けいかかしょう)から真言密教の教えを受けました。恵果和尚は空海の到来を待ち望んでいたといい、「あなたに全ての教えを伝えるために、長い間待っていた」と歓喜し、真言密教の秘伝を余すことなく伝えました。空海はそこで真言密教の奥義を修得し、帰国後に高野山を開きました。これが、日本の密教の根本道場としての高野山の始まりです。

    密教と顕教の違い:真言密教の「三密加持」と「即身成仏」

    仏教は「顕教(けんぎょう)」と「密教(みっきょう)」に大別されます。顕教は一般的な教義を言語によって説く教えであり、釈尊仏陀(しゃくそんぶつだ)の教えがその代表です。一方、密教は「秘密の教え」と呼ばれ、悟りの境地や真理は特別な修行を通してのみ理解できるという秘伝的な要素が多く含まれています。

    三密加持

    真言密教の最大の特徴は、「三密加持(さんみつかじ)」という瞑想法にあります。三密とは仏の「身・口・意(身体・言葉・心)」を指し、行者自身の「身・口・意」を仏の三密に一致させることで、仏と自分が一体化するという修行法です。三密加持の修行においては、仏がわたしたちに持っている力、いわば加持力(かじりょく)を取り入れ、自らが仏に近づき、「入我我入(にゅうががにゅう)」という境地に達することが目指されます。この「入我我入」の境地は、仏の智慧を体得するための瞑想を意味しており、空海はこれを日本に広めたのです。 また密教の修行の中で重要な「三摩地(さんまじ)」は、集中と一体化を追求する瞑想法です。三摩地は、仏と自分が一体となり、現世においても仏の境地に至ることを目指すもので、三密加持の究極的な姿とされています。弘法大師が実践した三摩地は、単なる瞑想法ではなく、真言密教の教義を体現する手段です。この瞑想法を通じて仏の智慧を知り、自己の仏性を育むことができるとされています。

    即身成仏

    弘法大師が説いた「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」の教えも密教特有のものです。これは、特定の修行を積むことで、現世に生きている今の肉体を持ちながら仏の境地に達することができる、という思想です。この教えは、仏に対する崇敬と共に、人間の本質にある仏性(ぶっしょう)を見つけ、自分の内にある仏と出会うという、非常に高度な思想です。この思想が真言密教の根幹にあり、空海は「この世で苦しむ人々を救うことが即身成仏につながる」と考え、救済と利他行の実践を教えの中核に据えました。

    高野山と弘法大師御廟(こうぼうだいしごびょう)の信仰

    高野山は、弘法大師の遺した「御廟(ごびょう)」を中心とする聖地で、ここには多くの参拝者が訪れ、弘法大師への崇敬の念を捧げています。御廟は、弘法大師が入定(にゅうじょう)という永遠の瞑想に入られた場所とされ、現在もそこで人々のために祈り続けていると信じられています。この信仰は、「大師信仰」として真言宗の中心的な信仰対象となっており、「高野詣」として日本各地から多くの人が訪れます。参拝者たちは、大師への感謝の念を持ち、日々の生活に真言密教の教えを取り入れようとします。

    真言宗の「お勤め」と日常生活での実践

    真言宗では、仏壇で日々の「お勤め」を行うことが推奨されています。「お勤め」とは仏の教えを唱えることを通じて、ご先祖の供養と自己修養を行うことです。日々の生活の中で、「仏前勤行次第」と呼ばれる経典を唱え、仏に感謝と敬意を捧げることで心を整えることを重視します。 お勤めを始める前には、仏壇を清め、供物を捧げ、手を洗い身を清めるという準備も欠かせません。このようにして、仏前で心を鎮め、仏の教えに耳を傾ける時間を持つことが真言宗の信仰者にとって重要です。こうした作法を通じて、心身を清め、日常生活の中で仏の智慧を生かす機会を持つことができるのです。

    弘法大師空海の遺産と高野山真言宗の意義

    弘法大師空海が日本に伝えた真言密教の教えは、宗教的意義のみならず、日本文化にも大きな影響を与えました。空海は、仏教だけでなく、教育や医療、土木技術にも優れた知識を持ち、その功績は数知れません。特に、京都の東寺(教王護国寺)は、空海が弘仁14年(823年)に天皇から賜り、真言密教の重要な拠点として発展させました。また、現在も高野山では弘法大師に倣い、人々の幸福と平和のために祈る行事が行われており、信仰と文化の継承が続けられています。

    おわりに

    今回は真言宗について解説しました。 他の宗派、そして自分の家がどの宗派かを確認する方法については以下の記事をご覧ください!

    【仏教の主要な宗派①】浄土宗について解説!

    【仏教の主要な宗派②】浄土真宗について解説!

    【仏教の主要な宗派④】臨済宗について解説!

    【仏教の主要な宗派⑤】曹洞宗について解説!

    【仏教の主要な宗派⑥】日蓮宗について解説!

    あなたの家は何宗?自分の宗派の調べ方を解説

    (参照) https://www.koyasan.or.jp/shingonshu/

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