【仏教の主要な宗派⑤】曹洞宗について解説!

2024.11.14

    日本の仏教にはさまざまな宗派があり、それぞれの宗派は独自の教え儀式の違いを持っています。 今回は主要な宗派のひとつである曹洞宗について解説します!

    曹洞宗とは

    曹洞宗は、仏教の正伝の教えを依りどころとし、坐禅を中心とした修行を通して仏の境地に近づくことを大切にする宗派です。その歴史は鎌倉時代にさかのぼり、道元禅師が中国から持ち帰った禅の教えをもとに、永平寺を創建したことから始まりました。瑩山禅師によってさらに日本全国へと広がり、現在に至るまで多くの人々に支持されています。

    曹洞宗のルーツ

    曹洞宗は、約800年前の鎌倉時代、日本仏教界に新風を吹き込む形で生まれました。1200年に生まれた道元禅師が24歳で宋(現在の中国)に渡り、如浄禅師のもとで修行し、仏教の正伝の教えを受け継いだことから始まります。道元禅師は日本に帰国後、坐禅を中心とする教えを説き、「只管打坐(しかんたざ)」すなわちただひたすら坐禅を行うことを求道の要としました。そして、道元禅師が1236年に越前(現在の福井県)に大仏寺(後の永平寺)を創建し、ここで仏法を説いたことで曹洞宗の基礎が築かれました。 さらに、道元禅師の後継者である瑩山禅師が、この教えを全国へと広めることに尽力しました。瑩山禅師は加賀(現在の石川県)にある大乗寺で教えを説き、多くの修行僧を育成しました。そして、瑩山禅師が建立した能登の總持寺は、後に横浜市鶴見に移転され、永平寺とともに曹洞宗の両大本山として今日まで信仰の拠り所となっています。

    「一仏両祖」と曹洞宗の信仰

    曹洞宗では「一仏両祖」という独特の信仰が根幹にあります。これは、曹洞宗のご本尊であるお釈迦様(釈迦牟尼仏)と、曹洞宗の両祖とされる道元禅師・瑩山禅師のことを指します。お釈迦様は約2500年前にネパールのルンビニーにて王子として生まれ、出家後にブッダガヤーで悟りを開いた仏教の開祖です。お釈迦様から脈々と受け継がれてきた正伝の教えが、中国を経て日本に伝わり、道元禅師・瑩山禅師の努力によって曹洞宗の形となって受け継がれています。この「一仏両祖」への敬愛と信仰は、曹洞宗の信徒たちが仏の慈悲と智慧を生活に体現するための大切な指針となっています。

    「只管打坐」と日常生活の修行

    曹洞宗の教えの中心にあるのは「只管打坐」と呼ばれる坐禅の実践です。道元禅師は、修行とはひたすら坐禅に専念することだと説きました。坐禅により「仏心」(自他の命を慈しむ心)を体感し、身と心の安らぎを得ることが、仏の姿に触れる道だとされます。また、坐禅を通して得た心のありようを日々の生活にも反映させ、「行住坐臥(ぎょうじゅうざが)」、つまり生活のすべての行いに仏の心を持つことが曹洞宗の修行の特徴です。挨拶や掃除、調理や食事などの何気ない行いを丁寧に意識しながら行うことが、仏道修行そのものであるとされています。

    曹洞宗の両大本山:永平寺と總持寺

    曹洞宗には、福井県の永平寺と横浜市の總持寺という二つの大本山があります。永平寺は道元禅師が開山した禅の修行道場で、深山に囲まれた静寂な環境の中、厳しい修行が今も続けられています。一方、總持寺は瑩山禅師が加賀に創建し、後に横浜市鶴見に移転されましたが、今も多くの信徒の拠り所として受け継がれています。両大本山では、日々の修行において坐禅を基本とした修行が重んじられ、僧侶たちは生活の一つひとつを修行として取り組んでいます。

    現代における曹洞宗の役割と発展

    曹洞宗は江戸時代に徳川幕府の寺檀制度のもとで組織を強化し、月舟宗胡、卍山道白といった僧侶たちの尽力により、その教義が整理されました。また、明治時代の廃仏毀釈の中でも耐え抜き、大内青巒居士が経典『修証義(しゅしょうぎ)』を編纂するなど、時代に合わせた布教活動を行いながら発展を続けました。『修証義』は特に在家信徒にも親しみやすく、生活の中で仏教の教えを実践するための指針として多くの人々に支持されています。 現在、曹洞宗は全国に約1万5千の寺院を有し、約800万人の檀信徒を擁する日本の大宗派へと成長しています。曹洞宗は坐禅を中心とした修行の精神を今に伝え、信仰と教えを次の世代に引き継ぎながら、時代の変化とともに柔軟に適応し続けています。曹洞宗の根底にある「只管打坐」の教えと「一仏両祖」への信仰は、今も多くの人々の心の支えとなっているのです。

    曹洞宗の教えを実生活に取り入れる意義

    曹洞宗の信仰においては、ただ坐禅を行うだけでなく、その心を日々の生活にも活かすことが重要とされます。掃除や食事、就寝や起床といった日常の行動の中に仏心を見出し、それをもって生活することが、人間としての成長と安らぎに繋がると考えられています。坐禅は、正しい姿勢と呼吸を意識し、心を空にして静かに座ることが基本ですが、その姿勢は何気ない日常の中でも同様に重要です。 こうした曹洞宗の教えは、現代社会の忙しい日々において心の拠り所を与えてくれると共に、安らぎと感謝を感じながら生きるための指針となっています。曹洞宗の寺院では、一般の人々が参加できる坐禅会も開催されており、日常に禅の心を取り入れたいと考える人々にとって貴重な機会となっています。仏心を日常の行いに込め、ひとつひとつを丁寧に行うことが、曹洞宗が目指す生き方の理想です。

    おわりに

    今回は曹洞宗について解説しました。 他の宗派、そして自分の家がどの宗派かを確認する方法については以下の記事をご覧ください!

    【仏教の主要な宗派①】浄土宗について解説!

    【仏教の主要な宗派②】浄土真宗について解説!

    【仏教の主要な宗派③】真言宗について解説!

    【仏教の主要な宗派④】臨済宗について解説!

    【仏教の主要な宗派⑥】日蓮宗について解説!

    あなたの家は何宗?自分の宗派の調べ方を解説

    (参照) https://www.sotozen-net.or.jp/soto

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