エンバーミングとは?手順や必要性、費用も徹底解説

2024.11.21

    エンバーミングという言葉を耳にしたことがあるでしょうか?これは故人を生前に近い姿で保存し、遺族が安心してお別れできるようにするための技術です。日本では火葬が一般的な文化ですが、エンバーミングが必要とされる場面やそのメリットが徐々に認知されつつあります。 本記事では、エンバーミングの概要、具体的な手順、保存期間や費用、さらには業者選びのポイントまで詳しく解説します。これを読めば、エンバーミングに関する知識がしっかり身につき、後悔のない選択ができるようになります。

    エンバーミングとは?基本的な概要と歴史

    エンバーミングとは、故人の遺体を消毒・殺菌し、防腐処置を施して生前の姿に近い状態で保存する技術です。日本語では「遺体衛生保全」や「死体防腐処理」とも呼ばれます。この処置は、専用の技術や設備を備えた施設で行われ、資格を持つ専門家である「エンバーマー」が担当します。

    エンバーミングの歴史と背景

    エンバーミングは海外、特にアメリカやヨーロッパで発展してきました。その起源は、17~19世紀にかけてフランスやイタリアの科学者が防腐剤を研究したことにさかのぼります。アメリカの南北戦争(1861~1865)の時代には、戦死者を故郷に送り届けるためにエンバーミングが広く行われるようになり、技術が進歩しました。 日本では1974年に川崎医科大学で初めて導入されましたが、一般に知られるようになったのは1995年の阪神・淡路大震災がきっかけです。火葬場が混み合い、遺体の腐敗防止が必要とされたことでエンバーミングが注目されました。

    エンバーミングの手順

    エンバーミングは多くの工程からなる専門的な処置です。以下にその流れを具体的に紹介します。

    1. 書類の提出

    エンバーミングを依頼する際には、以下の書類が必要です。 ・エンバーミング依頼書(同意書) ・死亡診断書または死体検案書 ・故人の生前写真(顔の修復や表情作りの参考になります)

    2. 遺体の搬送

    故人が安置されている場所からエンバーミング施設に搬送されます。

    3. 消毒と洗浄

    ・遺体全体を洗浄し、皮膚の消毒を行います。 ・髪の毛を洗い、ひげを整えるなどの基本的なケアを実施。 ・保湿剤や含み綿を使い、自然な表情を整えます。

    4. 体内の防腐処置

    ・動脈に防腐剤を注入し、静脈から血液を抜き取ります。 ・腹部や胸部から体液や未消化物を除去し、防腐剤を注入。 ・防腐剤が体内に行き渡ることで、腐敗の進行を防ぎます。

    5. 修復と縫合

    ・切開した部分を縫合します。 ・顔や体に傷がある場合は、特殊な技術で修復します。

    6. 衣装の着付けと化粧

    遺族の希望に沿った衣装を着せ、生前の姿に近づけるための化粧を施します。

    7. 搬送と安置

    処置が終わった遺体は、葬儀場やご自宅へ戻されます。

    所要時間

    通常のケースで約3~4時間。特別な修復が必要な場合は半日以上かかることもあります。

    エンバーミングが必要なケースと保存期間

    エンバーミングが必要とされる主なケース

    火葬までに日数が必要な場合 親族が遠方に住んでいる場合や友引のため火葬が延期される場合。 国際輸送が必要な場合 海外で亡くなった方を母国へ戻す場合や、逆に海外の方が日本で亡くなった場合。 損壊の修復が必要な場合 事故や解剖などで遺体に損傷がある場合、生前の姿に近づけるために行われます。

    保存期間

    エンバーミングを施した遺体は、約10日~2週間保存が可能です。冷却による保存と異なり、遺体の黒ずみや変色を防ぎつつ、生前の姿に近い状態を保てます。

    エンバーミングのメリットとデメリット

    メリット

    ・生前の姿に近い形でお別れができる ・衛生的で感染症リスクが低減 ・長期保存が可能でゆっくりとお別れができる

    デメリット

    ・費用が高額になる場合がある ・遺体にメスを入れることへの心理的抵抗

    エンバーミングの費用相場とコストパフォーマンス

    エンバーミングの処置費用は15万~25万円が一般的です。費用には以下の内容が含まれます。 ・防腐剤や消毒剤の使用費 ・修復作業や化粧の施術費用 ・専門施設の利用料や搬送費用 高額に思えるかもしれませんが、次のような場合にはコストパフォーマンスが高いと考えられます。 ・ドライアイスや保冷室使用による追加費用を抑えたい場合 ・火葬が遅れることで長期間の保存が必要な場合

    エンバーマーとは?専門職の資格と役割

    エンバーマーとは、エンバーミングを専門に行う資格を持つ専門職です。

    資格

    日本ではIFSA(日本遺体衛生保全協会)が資格試験を実施しています。国家資格ではないものの、エンバーマーとして必要な知識と技術を証明するものです。

    役割

    遺体の洗浄・消毒、防腐処置、修復、化粧などを行い、生前の姿に近づける作業を担当します。遺族の気持ちに寄り添いながら、故人との最良のお別れをサポートする重要な職業です。

    エンバーマーの資格は法的には義務付けられていないため、資格保持者がいる業者を選ぶことが安心です。 エンバーマーについては、以下の記事もご覧ください!

    現役エンバーマーへ聞いた|故人のエンバーミングは必要?不要?

    信頼できる業者を選ぶポイント

    エンバーミングを安全かつ適切に行うためには、信頼できる業者を選ぶことが重要です。 ・IFSA(日本遺体衛生保全協会)の認定資格を持つエンバーマーがいるか実績豊富な業者を選ぶ:実績数や利用者のレビューを確認しましょう。 ・相談時の対応をチェック:専門的な説明を分かりやすく行い、質問に丁寧に答えてくれる業者を選ぶと安心です。

    湯灌・エンゼルケアとの違い

    エンバーミングと似た処置としては、「湯灌」と「エンゼルケア」が挙げられます。 湯灌とは、故人の体を湯で清め、身支度を整える日本伝統の儀式です。 エンゼルケアとは、医療現場で行われる故人の身体を清拭・保清し、家族が最後のお別れをしやすくするためのケアです。

    目的腐敗防止専門技術処置場所
    エンバーミング防腐処置、修復、生前の姿の再現可能必要専門施設
    湯灌体の清め、着替え不可能不要葬儀場や自宅
    エンゼルケア基本的な死後のケア不可能不要病院や自宅

    エンバーミングは単なるケアではなく、腐敗防止や修復といった高度な処置を含む点が湯灌やエンゼルケアと異なります。

    まとめ

    エンバーミングは、大切な方との最後のお別れをより良いものにするための選択肢です。この記事を参考に、必要性やメリットを十分に理解し、信頼できる業者に依頼しましょう。 エンバーミングについて疑問や不安があれば、専門業者や葬儀社に相談することをお勧めします。後悔のない選択をするために、ぜひ検討してみてください。 (参照:https://www.okuribito-osousiki.com/area/hokkaido/columns/513)

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