樒(しきみ)とは?葬儀における重要な役割と意味、榊との違い、入手方法

2024.10.22

  • 葬儀

樒(しきみ)は、日本の仏教儀礼で重要な供花として使用される常緑樹です。特に、葬儀や法要の際に供えることで、故人の霊を守り慰めるとされています。本記事では、樒の名前の由来や榊との違い、葬儀における飾る場所、毒性の注意点、関西地方や日蓮正宗との関わり、そして入手方法や費用について詳しく解説します。

1. 樒(しきみ)の由来と特徴

樒(しきみ)は、学名を「イシノキ(Illicium anisatum)」といい、常緑の広葉樹です。日本では仏教儀式で多く使用され、その独特の芳香と光沢のある葉が特徴です。 「樒」という名前の由来には、「悪しき実」からきているという説があります。これは、樒の果実部分が有毒であることに由来しています。このことから、樒は「悪しき実」が転じて「しきみ」と呼ばれるようになりました。また、樒の葉や枝は古来から悪霊を払う力があると信じられ、仏教儀礼では厳粛な場面で重用されています。

2. 樒と榊の違い

樒(しきみ)と榊(さかき)は、共に宗教儀礼で使われますが、使用される宗教が異なります。それぞれの違いについて、以下の表にまとめました。

項目樒(しきみ)榊(さかき)
宗教的背景主に仏教儀式で使用神道の儀式や神棚への奉納で使用
特徴常緑樹で芳香を持ち、有毒成分を含む常緑樹で光沢のある葉が特徴
役割仏教葬儀や法要で供花として使用神道の儀式で神の依代(よりしろ)として使用
意味悪霊を払い、故人の霊を守る象徴神道において神聖さを示す象徴

樒は主に仏教儀礼で用いられ、悪霊を払う供花としての役割を持ちます。一方、榊は神道の神聖な木として、神棚や神社で神の依代として扱われます。

3. 葬儀での樒の飾る場所

仏教の葬儀において、樒は主に以下の場所に飾られます。 1. 祭壇の左右 最も一般的な飾り方は、祭壇の左右に樒を配置する方法です。左右対称に配置されることで、故人の霊を守り、穏やかに送り出すという意味が込められています。 2. 仏壇や遺影の前 仏壇や遺影の前にも、樒を供えることがあります。樒の緑色の葉が「永遠の命」や「不変」を象徴するため、仏壇や遺影の前に供えることで、故人の魂が安らかであることを願います。 3. 墓前や納骨堂 葬儀の際だけでなく、墓前や納骨堂に樒を供えることも一般的です。お墓参りの際に、菊などの花と一緒に樒を供えることで、故人の霊を慰め、無事に成仏することを願います。 4. 法要の供花として 葬儀だけでなく、法要の際にも樒を飾ることがあります。年忌法要やお盆の時期には、樒を供えて故人を偲びます。

4. 樒がよく使用される地域と宗派

樒(しきみ)は関西地方や日蓮正宗の葬儀でよく使用されることが知られています。関西地方では、伝統的に樒を供花として飾る習慣が広まっており、地域的な文化として根付いています。 また、日蓮正宗をはじめとした特定の宗派では、樒が他の供花よりも重視されることがあります。これは、樒が持つとされる浄化の力や悪霊を払う意味が、宗派の教えや儀礼に深く関連しているためです。そのため、日蓮正宗の葬儀では、樒が主要な供花として選ばれることが多いです。

5. 樒の毒性と取り扱いの注意点

樒は全体に有毒成分を含んでおり、特に果実や種子には「アニサチン」という有毒成分が含まれています。これらを誤って摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。しかし、樒を直接触ること自体は問題ありません。 樒の取り扱いで気をつけるべきポイント ・誤食防止 樒の果実や葉を誤って口に入れないよう、特に小さな子どもやペットがいる場合には注意が必要です。 ・手を洗うことを推奨 樒を扱った後は、万が一に備えて手を軽く洗うことが推奨されます。 ・保管場所 樒を使用する際は、子どもやペットの手が届かない場所に保管しましょう。

6. 樒の入手方法と費用

樒を入手する方法は主に以下の3つです。 1. 仏具店や花屋での購入 樒は仏具店や花屋で購入できます。価格は地域や店舗によって異なりますが、一般的には1本あたり500円~1,500円程度が目安です。大きさや鮮度によっても価格が異なるため、購入時には事前に確認すると良いでしょう。 2. ネット通販での購入 ネット通販でも、樒を購入することができます。オンラインショップでは、1本単位で購入する場合や、複数本セットになった商品が販売されています。価格は送料を含めて1本あたり1,000円~2,000円程度です。法要やお盆の時期には予約や早めの注文が推奨されます。 3. 自宅での栽培 樒は庭木としても育てられます。自宅に樒を栽培する場合、購入費用はかかりませんが、適切な環境と手入れが必要です。毒性のある果実部分に注意し、子どもやペットがいる家庭では特に管理を徹底しましょう。

まとめ

樒(しきみ)は、仏教の儀礼において非常に重要な供花です。葬儀では、祭壇の左右や仏壇の前、墓前に飾ることで、故人の霊を守り、無事に成仏することを願います。特に関西地方や日蓮正宗の葬儀では、樒が重要視され、使用されることが多いです。また、樒の取り扱いには毒性の面からも注意が必要です。入手方法や費用についても把握し、適切に準備しましょう。

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