2024.10.29
銀行口座の相続は、被相続人(亡くなった方)の財産を円滑に引き継ぐために重要な手続きです。預金の凍結や遺産分割協議、仮払い制度、休眠預金の問題など、多くの手続きや注意点が存在します。この記事では、銀行口座の相続手続きの基本から、仮払い制度や休眠預金への対処方法について詳しく解説します。
被相続人が亡くなると、その名義の銀行口座は凍結され、預金の引き出しができなくなります。これは、相続人同士のトラブルや不正引き出しを防ぐための措置です。凍結された預金を引き出すためには、適切な相続手続きを完了させる必要があります。
相続手続きを進める際、最も重要なのが遺産分割協議です。相続人全員が協議を行い、誰が何を相続するか合意した内容を遺産分割協議書としてまとめます。この協議書がないと、銀行での預金引き出し手続きができません。
仮払い制度は、2019年の相続法改正で新たに導入されました。この制度を利用することで、相続手続きが完了する前でも、相続人が一定額まで預金を引き出せるようになっています。特に、相続手続きが長引く場合や、緊急の支払いが必要な場合に役立ちます。
出金できる金額の上限は、以下の「低い方の金額」です。 ・死亡時の預貯金残高 × 法定相続分 × 3分の1 ・150万円 この条件は「金融機関ごと」に適用されます。したがって、被相続人が複数の銀行に預貯金口座を持っている場合は、それぞれの金融機関で上限額が適用され、出金可能な金額が増える可能性があります。
仮払い制度は、相続手続きが完了する前でも緊急の支出に対応できる制度です。以下のような場面で特に役立ちます。 1. 葬儀費用や火葬費用の支払い 亡くなった直後に必要となる葬儀費用や火葬費用は一般的に高額です。仮払い制度を活用することで、手元に現金がない場合でも被相続人の預金から迅速に資金を確保し、支払いを済ませることができます。 2. 被相続人の医療費や介護費の支払い 被相続人が亡くなる直前まで入院していた場合、未払いの医療費や介護費が発生することがあります。こうした費用の支払いにも仮払い制度が役立ちます。 3. 相続人の当面の生活費の補填 被相続人と同居して生活費を支援してもらっていた場合、当面の生活費が不足することがあります。仮払い制度を利用することで、相続手続きの完了を待つ間の生活費を確保できます。