葬儀にはどんな種類の花があるの?供花におすすめの花もご紹介

2025.3.24

    葬儀の場で故人を偲ぶ方法の一つに「花」があります。葬儀に用いられる花にはいくつかの種類があり、宗教や地域の風習によっても選ばれる花や飾り方が異なります。この記事では、葬儀で用いられる主な花の種類や宗教別の供花の違い、さらに供花におすすめの花をご紹介します。喪主としてのマナーや手配方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

    葬儀に用いられる花の種類は主に4つ

    葬儀に用いられる花の種類

    葬儀の場で使われる花は、故人への弔意を表すとともに、参列者の心を和らげる役割も果たします。実は、葬儀で使用される花には大きく分けて4つの種類があり、それぞれに意味や目的が存在します。これらを正しく理解しておくことで、故人をより丁寧に弔うことができます。

    1. 供花とは

    供花(くげ・きょうか)とは、故人に対して弔意を示すために親族や友人、関係者が贈る花のことです。葬儀会場の祭壇に飾られ、故人の霊前に手向けることで哀悼の意を表します。 供花は、故人を偲び、最後のお別れをするための大切な贈り物です。花の種類やアレンジメントのスタイルは宗教や地域によって異なることがあり、贈る際にはその点に配慮する必要があります。

    2. 花輪とは

    花輪(はなわ)は、大型の輪状にアレンジされた供花で、主に葬儀会場の外に飾られることが多いです。地域によっては、花輪が非常に重視される文化もあります。 特に地方の葬儀では、花輪の大きさや数が故人への敬意の表れとされる場合もあります。花輪には、贈り主の名前が書かれた札が掲げられるため、誰から贈られたものかが一目でわかるのが特徴です。

    3. 枕花とは

    枕花(まくらばな)は、故人が自宅などに安置されている際、枕元に飾る花のことです。ごく親しい親族や友人が贈ることが多く、故人の安らかな旅立ちを願う気持ちが込められています。 枕花は、派手すぎない落ち着いた色合いの花が選ばれ、白を基調としたものが一般的です。大きなアレンジメントではなく、シンプルで控えめなものが好まれます。

    4. 献花とは

    献花(けんか)は、葬儀の際に参列者が一人ずつ花を手向ける儀式のことです。特にキリスト教の葬儀では定番の儀式として行われますが、無宗教の葬儀でも取り入れられることがあります。 献花の際には、花を両手で丁寧に持ち、故人に対して心を込めて捧げます。使用される花は白いカーネーションやバラが一般的で、宗教によっては花の選び方や献花の手順にも違いがあります。

    宗教別の供花の違い

    供花は、宗教ごとに選ばれる花の種類や飾り方に違いがあります。適切な供花を選ぶことは、故人とその家族に対する敬意を示す大切なマナーの一つです。宗教別に供花の特徴や注意点をしっかりと理解しておきましょう。

    仏教における供花の特徴

    日本で最も多く行われている仏教の葬儀では、供花は「白」を基調とした落ち着いた色合いが好まれます。白い菊やユリ、カーネーションが代表的で、清らかさや故人への哀悼の意を表現します。 また、仏教では「輪廻転生」という思想があるため、死は新たな生の始まりと捉えられています。そのため、派手すぎる花は避け、慎ましく控えめな花が選ばれます。

    仏教の供花の注意点 ・赤い花や華美なアレンジメントは避ける ・トゲのあるバラなどは不適切とされる ・供花には「故人の冥福を祈る」という意味が込められているため、選ぶ花には慎重を期す

    神道における供花の特徴

    神道の葬儀では、供花も「白」が基本です。これは、神道が「清浄」を重んじる宗教であるためです。白いユリやカーネーション、さらには榊(さかき)などが用いられます。 また、神道では故人の魂が家族や地域を守護すると考えられており、神聖な花として榊が特別視されることが多いです。

    神道の供花の注意点 ・色は白を中心に選ぶ ・左右対称に美しく飾るのがマナー ・献花や飾り方には厳格なルールがあるため、葬儀社に相談するのが安心

    キリスト教における供花の特徴

    キリスト教の葬儀では、白い花が多く選ばれますが、淡い色合いの花も許容されています。バラやユリ、カーネーションなどが代表的です。特に白いバラは「純潔」や「永遠の愛」を象徴し、よく使用されます。 また、キリスト教では「献花」の儀式が行われることが多く、参列者が順番に花を手向けて故人を偲びます。この際、花は必ず茎を故人の方に向けて手向けるのがマナーです。

    キリスト教の供花の注意点 ・十字架の装飾やリース型の花も選ばれる ・明るい色合いの花も受け入れられる場合がある ・花を贈る場合は、宗派(カトリック・プロテスタント)に応じた選び方を意識する

    供花におすすめの花をご紹介

    供花として贈る花は、故人への弔意や、遺族への慰めの気持ちを表現する大切な役割を果たします。選ぶ花によって込められる意味も異なるため、故人への想いをしっかりと伝えられるように適切な花を選びましょう。ここでは、供花として特におすすめされる花をご紹介します。

    菊:日本の葬儀で定番の花

    日本の葬儀において、最も定番とされる花が菊です。菊は「不老長寿」や「高潔さ」を象徴し、古くから仏教の葬儀で広く使用されてきました。特に白菊は、清浄と高貴を表し、故人の魂が穏やかに旅立つことを願う意味が込められています。 また、菊は日持ちが良く、葬儀後も長く飾っておけるため、供花として非常に適しています。地域によっては黄色や紫の菊も使用される場合がありますが、迷った際は白い菊を選ぶのが無難です。

    カーネーション:優しさと愛情を表す花

    カーネーションは、優しさや愛情、母性愛を象徴する花です。故人に対する感謝の気持ちを表現する花として、多くの人に選ばれています。 特に白いカーネーションは「純粋な愛」「尊敬」の意味があり、葬儀の場でもよく使用されます。派手すぎず、落ち着いた雰囲気の供花として選ばれることが多いです。

    ユリ:純粋と無垢を象徴する花

    ユリは、その美しさと気品から、格式ある葬儀の場でも選ばれることが多い花です。特に白いユリは「純粋」や「無垢」、「再生」という意味を持ち、故人の魂の安らかな旅立ちを願う気持ちが込められます。 ユリの大きく美しい花は存在感があり、供花として飾ると場を清らかに演出してくれます。ただし、香りが強い種類もあるため、葬儀会場の雰囲気に合わせて選ぶと良いでしょう。

    リンドウ:悲しみを癒す花

    リンドウは、青紫の深い色合いが特徴的な花です。その色合いから「悲しみの中にある希望」を象徴し、故人を偲ぶ気持ちを表現するのに適しています。 特に秋に咲く花であるため、秋の葬儀に用いられることが多いですが、供花として年間を通じて選ばれています。落ち着いた雰囲気を持つリンドウは、静かに故人の冥福を祈る場にふさわしい花と言えるでしょう。

    トルコギキョウ:優雅さと感謝の気持ちを込めて

    トルコギキョウは、柔らかい花びらと優雅なフォルムが特徴的な花です。花言葉には「優美」「希望」「感謝」があり、故人への感謝と哀悼の意を込めて贈られます。 色も白や淡い紫など落ち着いた色合いが多く、供花として非常に人気です。どんな宗教の葬儀でも使いやすく、周囲との調和も取りやすいのが特徴です。

    胡蝶蘭:高貴で格式の高い花

    胡蝶蘭は、格式の高い葬儀でよく選ばれる花です。特に白い胡蝶蘭は、「清らかさ」や「永遠の愛」を象徴し、故人への深い敬意を表す花として人気があります。 胡蝶蘭は花持ちも良く、葬儀後も長く美しさを保つことができます。また、高級感があるため、会社関係や目上の方への供花としても適しています。

    デルフィニウム:美しい青で故人を偲ぶ

    デルフィニウムは、鮮やかな青や紫色が特徴的な花で、「清明」「高貴」という花言葉を持っています。その美しい色合いは、故人への哀悼の意を込めるのにふさわしく、供花としてもよく選ばれています。 また、青は「冷静」「静寂」といった意味も持つため、故人の旅立ちを静かに見守る気持ちを込めて贈る方も多いです。

    供花に関して喪主側がやるべきこと

    喪主は葬儀の中心となってさまざまな準備や対応を行いますが、供花に関してもいくつかの大切な役割があります。失礼のないようにするためには、事前にマナーを理解し、適切に対応することが重要です。ここでは、喪主が供花に関して行うべき基本的なことをご紹介します。

    供花を受け取るかどうか示す

    葬儀では、供花を受け取るかどうかを喪主が決定し、その意思を明確に伝えることが必要です。供花を受け取る場合は、事前にその旨を葬儀案内状や通知で示します。一方で、会場のスペースや宗教上の理由から供花を辞退する場合もあります。その際は、以下のような表現を使って丁寧にお断りするのが一般的です。

    供花辞退の例文

    「誠に勝手ながら、供花・供物のご厚志は固くご辞退申し上げます。」 供花を受け取るかどうかは、遺族の意向だけでなく、会場の規模や宗教的な制約も考慮して決めましょう。

    供花を飾る際のポイント

    供花を飾る際には、いくつかのマナーと注意点があります。適切な配置を心がけ、故人への敬意が伝わるように整えることが大切です。

    供花の飾り方の基本ルール

    1.故人との関係性で配置を決める 親族や近しい関係者の供花は、祭壇の正面や最も目立つ位置に飾ります。会社関係や友人からの供花は、その後ろや左右に配置するのが一般的です。 2.左右対称を意識する 供花はバランス良く左右対称に配置することが基本マナーです。どちらか片方に偏ることがないよう、均等に並べると美しく見えます。 3.名札の向きにも注意する 供花には、贈り主の名前が書かれた名札が付いています。この名札は、参列者から見て読みやすい向きで飾ることが大切です。

    供花へのお返しのマナー

    供花をいただいた場合は、喪主として感謝の気持ちを伝えることが大切です。お返しには「香典返し」と一緒に行うのが一般的ですが、供花のみをいただいた場合は、個別にお礼を伝えるようにしましょう。

    供花のお返しで考慮すべきポイント

    供花のお礼状を送る 供花をいただいた方には、感謝の気持ちを伝えるお礼状を送るのがマナーです。形式にこだわらず、心のこもった言葉を添えましょう。 ・供花料に応じたお返し 供花料が高額だった場合は、それに応じた返礼品を用意することが望ましいです。一般的には、供花料の半額〜3分の1程度の品を返礼品とするのが目安です。 ・タイミングにも注意する 葬儀後、できるだけ早い段階でお礼状や返礼品を送るようにしましょう。遅くても四十九日までには完了させるのがマナーです。

    供花に関する確認事項

    供花を手配する際は、事前にさまざまな事項を確認しておくことが重要です。特に、宗教の違いや費用の目安、マナーなどは、喪主や遺族として把握しておくべきポイントです。ここでは、供花に関する基本的な確認事項について詳しく解説します。

    供花の手配方法と手順

    供花は、主に以下の3つの方法で手配することが一般的です。

    1.葬儀社に依頼する 最も確実なのは、葬儀を依頼している葬儀社を通じて手配する方法です。葬儀社は宗教や会場に合わせた供花の種類を提案してくれるため、安心して任せられます。 2.花屋に直接依頼する 近隣の花屋に直接依頼する方法もありますが、会場の規模や宗教に合った供花を選ぶ必要があります。そのため、事前に葬儀社や喪主に相談し、飾り方やサイズ感を確認しておくことが重要です。 3.インターネットで注文する 最近では、オンラインで供花を注文できるサービスも増えています。価格やデザインの比較がしやすいですが、葬儀会場への配達が可能かどうかを確認し、手配ミスを防ぎましょう。

    供花手配の注意点

    宗教や地域の風習に合わせる 宗教によって適した花や飾り方が異なります。必ず確認してから注文しましょう。 ・手配のタイミング 通常、葬儀の前日までに手配するのが望ましいです。葬儀当日に届くように指定することで、スムーズに飾ることができます。

    供花の費用相場

    供花の費用は、花の種類やアレンジメントの規模によって大きく異なります。一般的な相場は以下の通りです。 ・シンプルな供花:10,000円〜15,000円 ・中規模の供花:15,000円〜30,000円 ・豪華な供花:30,000円以上 宗教や地域によっても費用相場は変わるため、葬儀社や地元の花屋に相談すると安心です。また、複数人で費用を分担して豪華な供花を手配するケースもあります。

    宗教別の供花マナー

    供花のマナーは宗教ごとに細かな違いがあります。マナー違反にならないよう、しっかりと確認しましょう。 ・仏教 白い花を基調とし、菊やユリ、カーネーションが一般的です。赤い花は避けましょう。 ・神道 白いユリやカーネーション、榊などが選ばれます。左右対称に配置するのがマナーです。 ・キリスト教 白を基調としながら、淡い色合いの花も許容されます。バラやカーネーションが多く選ばれます。 宗教によっては、特定の花が不適切とされる場合もあるため、事前に確認することが大切です。

    供花の飾り方や並べる順番のルール

    供花を飾る際にも、いくつかの基本ルールがあります。特に喪主や遺族は、葬儀の格式を守るためにも正しい飾り方を理解しておきましょう。 1.親族の供花は中央に 故人と最も関係が深い親族の供花は、祭壇の中央や最前列に飾るのが一般的です。 2.その他の供花は左右に 友人や知人、会社関係などの供花は、左右対称に配置し、親族の供花よりも後方に飾ります。 3.供花の名札の向きにも注意 名札は、参列者から見て読みやすい向きに配置します。特に左右の位置関係には注意が必要です。 4.花の大きさや種類にも配慮 葬儀の規模や宗教に合ったサイズや花の種類を選ぶことも大切です。 5.祭壇とのバランスを意識する 供花の高さや色味が祭壇と合うように調整し、全体の調和を取ることも重要です。

    まとめ

    供花は、故人との最後の別れの場を彩り、遺族の心を慰める大切な役割を持っています。正しいマナーを守りながら、心を込めて供花を贈ることで、より丁寧で思いやりのある弔いとなるでしょう。

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