2024.11.1
葬儀において「盛籠(もりかご)」は、故人への供養と遺族へのお悔やみの気持ちを表すために贈られるもので、日本の葬儀文化において重要な役割を担っています。盛籠は供物の一種として、弔問客や企業、団体からの弔意を表すために贈られ、葬儀会場に並べられることが一般的です。今回は、盛籠の種類やマナー、贈る際の注意点について詳しく解説します。
盛籠とは、果物やお菓子、缶詰などを盛り合わせた大きなかごで、供養や弔意を表すために葬儀や通夜の際に贈られる供物です。これには、故人の冥福を祈るとともに、遺族への配慮の気持ちが込められています。供物としての盛籠は、祭壇に飾られ、葬儀の雰囲気を彩り、弔問客が故人への感謝と別れの意を込めて捧げるものです。 盛籠の一般的な中身には、お米、缶詰、乾物、果物、飲み物、調味料、またお線香やろうそくなども含まれます。なかでも特に人気があるのは果物と乾物で、日持ちしやすく遺族が後日分配しやすい点が特徴です。ただし、神道の葬儀ではお線香やろうそくは使用しないため、こうした品は避けることがマナーです。また、仏教の葬儀でも殺生を連想させる品は好ましくないとされるため、魚や肉類などを含まない内容で準備しましょう。
葬儀用の盛籠には、いくつかの種類があり、贈る側が適切なものを選ぶ必要があります。 ・生花盛籠 生花と供物を一緒に飾った盛籠です。色鮮やかな生花と、果物や缶詰を組み合わせて見栄えを良くしています。生花の華やかさが葬儀の会場を明るくする効果もあり、特に宗教的に花の供物が好まれる場合に適しています。(後述) ・果物盛籠 果物のみを使った盛籠で、色鮮やかで華やかさを保ちつつ、葬儀の厳粛な雰囲気にも適しています。遺族が後で食べやすく、香りが強くないため多くの葬儀で選ばれます。 ・缶詰盛籠 缶詰や保存が利く食品を中心に構成された盛籠です。果物缶や飲み物の缶詰が多く、長期間保存可能なため、遺族にとって実用的です。
盛籠を贈る際には、葬儀の形式や遺族の意向に配慮することが大切です。適切な配慮を行い、失礼のないように準備をしましょう。 ・お供え物を辞退されている場合 最近では、遺族側から「お供え物辞退」が伝えられるケースも増えています。この場合、供物としての盛籠は贈らず、弔意を香典や供花で表現するのが適切です。葬儀の案内や喪主・遺族からのメッセージで供物辞退の有無を必ず確認し、指示に従うことが礼儀となりま す。 ・事前確認の重要性 盛籠を贈る場合は、葬儀社や葬儀場に事前に確認をすることも重要です。特に、盛籠が飾られる祭壇やスペースの都合があるため、葬儀社に事前の確認をすることで、混乱や無駄を避けることができます。また、宗教や宗派によっては盛籠が好まれない場合もあるため、配慮が求められます。 ・香典は別途用意する 盛籠はあくまで供物であり、香典とは別のものとして扱われます。葬儀の慣習では香典は弔意の表れとして重要なものですので、盛籠を贈る場合でも香典は別途用意するのが基本です。
盛籠には、供養としての役割を果たすために守るべきマナーがあります。名札や贈るタイミング、金額についても注意を払いましょう。 ・名札の書き方 盛籠には、贈り主の名前を記した名札をつけます。名札にはフルネームか、会社名・団体名と肩書きも記載するのが一般的です。葬儀会場では名札が多くの人に見られるため、はっきりとした文字で書かれることが大切です。 ・贈るタイミング 盛籠は、葬儀や通夜の会場に予め届けておくか、参列する際に持参します。事前に会場へ手配を依頼する場合もありますが、遅くとも通夜の前に届くよう手配をしておくと安心です。 ・金額の相場 盛籠の価格は贈る相手や地域によって異なりますが、一般的には5,000円から20,000円程度が相場です。特に親しい間柄や会社関係の場合は、10,000円から15,000円程度のものが選ばれることが多く、格のあるかごや盛り合わせの内容に配慮するとよいでしょう。
葬儀の形式により、盛籠を贈る際の注意点が異なります。宗教ごとの基本的な配慮について解説します。 ・仏教葬儀 ほとんどの宗派で盛籠は一般的ですが、特定の品物や内容物に制約がある場合があります。特に、殺生を連想させる品(魚介類や肉製品など)は避けることが一般的なマナーです。 ・キリスト教葬儀 盛籠よりも生花のほうが好まれる傾向があります。供物として盛籠が適さない場合があるため、確認が必要です。 ・神道の葬儀 神道の葬儀では、祭壇への供物としての盛籠が受け入れられますが、お線香やろうそくは使わないため、注意が必要です。
盛籠を手配・準備する際のポイントを以下にご紹介します。 ・葬儀社または専門店へ注文する 盛籠は葬儀社や葬儀専門店、またはネット注文サービスなどで手配が可能です。葬儀社で注文する場合は、宗教的な配慮や祭壇の配置、相場に合った盛籠を相談しながら準備できるため、安心です。また、予算に応じて内容や大きさを選ぶことができるので、遺族への配慮に合った盛籠が選べます。 ・内容と価格の確認 盛籠の中身は果物、缶詰、お菓子、生花のどれが適しているか、地域のしきたりも考慮しながら選定します。葬儀会場で持ち運びやすく、また、 遺族が分けやすい内容が好まれます。盛籠の価格帯は5,000円から20,000円程度まで幅広く、贈り手の立場や関係性に応じて適切な 予算で準備しましょう。 ・配送手配と到着日時 注文後は、葬儀のタイミングに合わせて配送手配を行います。通夜の当日またはそれ以前に到着するように手配するのがマナーです。葬儀会場への直接配送が可能な場合が多く、会場側での受け取り対応についても葬儀社や会場に確認しておきましょう。
葬儀の盛籠は、故人への敬意を示し、遺族へのお悔やみの気持ちを伝える重要な供物です。盛籠の種類や贈り方のマナーを理解し、適切に準備することで、心からの弔意を伝えることができます。地域や宗教のしきたりに従いながらも、遺族の気持ちに寄り添う形で手配を行いましょう。
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