お遍路とは?四国八十八ヶ所巡礼の基本と巡り方

2025.2.25

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お遍路とは?四国八十八ヶ所巡礼の基本と巡り方

お遍路とは?

お遍路(おへんろ)とは、四国地方に点在する八十八ヶ所の霊場を巡る巡礼のことを指します。正式には「四国八十八ヶ所巡礼」と呼ばれ、弘法大師(空海)ゆかりの地を巡る修行の一環として古くから行われてきました。巡礼者は「遍路(へんろ)」と呼ばれ、白装束をまとい、金剛杖を手に持って寺院を訪れます。 お遍路は信仰の深い人だけが行うものではなく、現在では健康祈願、供養、人生の節目における決意表明、自分探しなど、さまざまな目的で多くの人々が巡礼に訪れます。徒歩での巡礼はもちろん、車やバス、自転車などを利用した巡礼も一般的になっています。 また、お遍路は単に八十八ヶ所の寺院を巡るだけでなく、精神的な成長や自己の内面と向き合う旅でもあります。そのため、巡礼を終えた後、多くの人が心の変化や新たな気づきを得ると言われています。

四国遍路の由来

四国遍路の起源には諸説ありますが、その中心には弘法大師(空海)の存在があります。弘法大師は平安時代初期の僧侶で、真言宗の開祖として知られています。 彼は修行のために四国各地を巡りながら、さまざまな霊場を開きました。これが後の四国八十八ヶ所巡礼の礎となったと考えられています。空海は四国の地で厳しい修行を積み、その足跡をたどることが霊的な功徳をもたらすと信じられるようになりました。 また、鎌倉時代には修行僧や一般の人々の間で巡礼の習慣が広まり、江戸時代には庶民の間でも広く親しまれるようになりました。特に、江戸時代には「同行二人(どうぎょうににん)」という考え方が定着しました。これは「巡礼者は一人で旅をしているのではなく、常に弘法大師が同行している」という信仰を意味します。 こうした信仰に支えられながら、四国遍路は時代を超えて多くの人々に受け継がれています。

弘法大師

弘法大師(こうぼうだいし)、本名・空海(くうかい)は、774年に現在の香川県善通寺市で生まれました。幼い頃から聡明であり、18歳で大学に入るも、学問では得られない真理を求めて仏教の道へ進みました。 804年には遣唐使として中国(唐)へ渡り、長安で真言密教を学びました。師である恵果(けいか)から真言密教の奥義を授かり、帰国後に日本に広めました。高野山を拠点に真言宗を開き、数多くの寺院を建立。日本の仏教界に大きな影響を与えました。 空海は死後も人々の信仰を集め、「弘法大師」として崇拝されるようになりました。四国八十八ヶ所の霊場は、空海が修行をした場所や彼にゆかりのある寺院で構成されており、お遍路の旅はまさに弘法大師の足跡をたどるものです。 巡礼者は「同行二人」という言葉を胸に刻み、弘法大師と共に歩む気持ちで巡礼を行います。巡礼の際には「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と唱え、弘法大師への敬意と感謝を表します。

お遍路の巡り方

お遍路にはさまざまな巡り方があり、自分の体力やスケジュールに合わせて選ぶことができます。ここでは代表的な巡り方について紹介します。

1. 徒歩遍路

昔ながらの方法で、すべての寺を徒歩で巡る巡礼方法です。四国全土を歩いて回るため、距離は約1,200kmに及びます。徒歩遍路は体力的に非常に厳しいですが、その分、達成感も大きく、より深い精神的な体験が得られます。

2. 車遍路

車を使って巡礼する方法です。短期間で全ての霊場を巡ることができ、仕事や家庭の都合で長期間の旅が難しい人にも適しています。運転に慣れている人なら、数週間で巡礼を終えることも可能です。

3. バスツアー

旅行会社が提供する「お遍路バスツアー」に参加する方法です。ツアーガイドが同行し、効率よく霊場を巡ることができます。初めてのお遍路の方や、時間が限られている方におすすめです。

4. 自転車遍路

自転車を使って巡る方法も近年人気を集めています。徒歩よりも移動距離を稼げるため、時間を節約しながらも自分のペースで旅ができます。

5. 区切り打ち

一度に全ての八十八ヶ所を巡るのではなく、何回かに分けて少しずつ巡礼する方法です。仕事や家庭の都合で長期間の休みが取れない人に向いています。

お砂踏

「お砂踏(おすなふみ)」とは、お遍路の簡易版とも言える巡礼方法です。四国の八十八ヶ所の霊場の「お砂(砂)」を集め、それを寺院などに配置した場所で、砂を踏みながら参拝することで、本来の巡礼と同じ功徳が得られるとされています。 お砂踏は、特に高齢者や体力的にお遍路が難しい人々にとって、お遍路の気持ちを味わうための方法として知られています。日本各地の寺院や公共施設で「四国八十八ヶ所お砂踏み霊場」が設けられていることもあり、四国まで行かなくても巡礼の雰囲気を体験できるのが特徴です。 また、一部の寺院では「お砂踏み道場」という形で、八十八ヶ所の本尊の写しや納経帳を置き、参拝者が一堂に巡礼できるようにしている場所もあります。 このように、お砂踏は時間や体力の制約がある人々にとって、四国八十八ヶ所巡りの一部を体験できる貴重な手段となっています。

お遍路にかかる費用と日数

お遍路をする際には、どのような方法で巡るかによってかかる費用や所要日数が大きく変わります。ここでは、代表的な巡礼方法ごとの費用と日数の目安について解説します。

1. 徒歩遍路の場合

徒歩遍路は、すべての札所(ふだしょ)を自分の足で巡る方法で、お遍路本来の形とも言えます。 所要日数:約40〜60日 主な費用 宿泊費:3,000円〜8,000円/泊(遍路宿・ビジネスホテル・民宿など) 食費:1,500円〜3,000円/日 お賽銭・納経代:300円×88ヶ所(合計26,400円) お遍路グッズ(白衣、金剛杖、納経帳など):約10,000〜20,000円 交通費:四国までの往復交通費 合計:約30万円〜50万円(巡礼スタイルにより変動) 徒歩遍路は費用を抑えることも可能ですが、長期間の滞在となるため、食費や宿泊費がかさみます。一方で、地元の方からの「お接待(おせったい)」を受けることがあり、食べ物や飲み物、時には宿泊を無料で提供してもらうこともあります。

2. 車遍路の場合

車を利用すると移動の負担が減り、短期間で巡ることができます。 所要日数:約10〜15日 主な費用 ガソリン代:約3万円〜5万円(総走行距離約1,200km) 高速道路代:約2万円〜3万円(ルートによる) 宿泊費:4,000円〜8,000円/泊 食費:2,000円〜3,000円/日 納経代・お賽銭:徒歩遍路と同じく26,400円 レンタカー代(必要な場合):10万円前後(2週間) 合計:約20万円〜40万円(車を持っている場合は費用を抑えられる)

3. バスツアー遍路の場合

バスツアーでは、ツアーガイド付きで快適に巡ることができます。 所要日数:8〜12日 主な費用 ツアー料金:20万円〜40万円(宿泊費・食事込み) 納経代・お賽銭:26,400円 合計:約25万円〜50万円 バスツアーは時間に余裕がない人や、移動の負担を減らしたい人に向いています。

4. 自転車遍路の場合

自転車を使うと徒歩より早く巡ることができ、自由度も高いです。 所要日数:約20〜30日 主な費用 自転車購入・レンタル代:2万円〜10万円 宿泊費・食費:徒歩遍路と同程度 ガソリン代や高速代が不要なため、費用を抑えられる 合計:約15万円〜30万円

5. 区切り打ちの場合

区切り打ち(少しずつ巡る方法)は、1回の巡礼ごとにかかる費用は少なくて済みますが、何度も訪れる場合はトータルで高額になることもあります。

お参りの作法

お遍路では、ただ寺を巡るだけでなく、正式な作法にのっとって参拝することが大切です。以下に、基本的なお参りの流れを紹介します。 1. 山門で一礼 各札所の入り口にある山門をくぐる前に、一礼して心を落ち着かせます。 2. 手水舎で清める 本堂や大師堂に参拝する前に、手水舎(ちょうずや)で手と口を清めます。 3. 鐘をつく 鐘がある寺では、一度鐘をついてから参拝を始めます。 4. 本堂と大師堂でのお参り 本堂では本尊に手を合わせ、大師堂では弘法大師に祈ります。 ・納め札を納める ・お賽銭を入れる ・燃え残りの線香やろうそくを供える ・読経(般若心経など) 5. 納経 納経所で「納経帳」に御朱印をもらいます。(1ヶ所300円) 6. 次の札所へ 参拝が終わったら、次の寺へ向かいます。

お遍路に必要な服装やグッズ

お遍路を行う際には、適切な服装と持ち物を用意することが大切です。 基本の服装 白衣(はくえ):巡礼者の正装。白は「死に装束」の意味を持つ。 金剛杖(こんごうづえ):弘法大師の象徴であり、道中の支えとなる杖。 菅笠(すげがさ):日差しや雨を防ぐ笠。 輪袈裟(わげさ):略式の袈裟で、お遍路の際に身につける。 脚絆(きゃはん)・草鞋(わらじ)または歩きやすい靴 持ち物 納経帳:各札所で御朱印をもらう帳面。 お賽銭:88ヶ所巡るため、100円玉や10円玉を多めに用意。 地図・ガイドブック:巡礼のルートを確認するために必要。 雨具:急な天候の変化に備える。

お参りの作法

お遍路では、正しい作法に従ってお参りを行うことが大切です。形式を守ることによって、巡礼の精神的な意義が深まり、より充実した体験が得られます。ここでは、四国八十八ヶ所巡礼における基本的なお参りの作法を詳しく解説します。

1. 山門での礼拝

寺院の入口には「山門(さんもん)」と呼ばれる門があります。山門をくぐる前に一礼し、心を整えます。この一礼は、俗世から聖域へと足を踏み入れるためのけじめであり、敬意を表す行為です。 また、山門をくぐる際には、左足から入ると良いとされています。これは、右足から入ることが「踏み込む」という行為を

2. 手水舎で身を清める

山門を入ってすぐの場所には、「手水舎(ちょうずや)」があります。これは、参拝前に身を清めるための施設で、水が入った手水鉢と柄杓(ひしゃく)が備えられています。 清め方の手順 1.右手で柄杓を持ち、水をすくい、左手を清めます。 2.次に柄杓を左手に持ち替え、右手を清めます。 3.再び右手に持ち替えて左手に水を受け、口をすすぎます。この際、柄杓に直接口をつけないようにします。 4.最後にもう一度左手を清め、柄杓を元の位置に戻します。 手水舎での清めは、体だけでなく心を清める意味もあります。丁寧に行い、心を静めてから参拝に臨みましょう。

3. 鐘楼で鐘をつく

多くの札所には「鐘楼(しょうろう)」と呼ばれる鐘が設置されています。鐘をつくことには、煩悩を払い、心を清める意味があります。参拝前に一度だけ鐘をつき、心を落ち着けてから本堂へ向かいます。 ※鐘をつけない寺院もあるため、現地の案内に従いましょう。

4. 本堂での参拝

お遍路では、本堂と大師堂の2箇所で参拝します。まずは本堂からお参りを始めます。本堂にはご本尊(本尊仏)が祀られており、その前で合掌して祈ります。 参拝の手順 1.納め札を納める:納め札(おさめふだ)を指定の場所に納めます。名前、住所、願い事を記入しておくとよいでしょう。 2.お賽銭を供える:お賽銭は感謝の気持ちを込めて静かに供えます。金額は決まっていません。 線香とろうそくを供える:線香を3本立て、ろうそくを灯します。火は「灯明」からもらいましょう。 3.読経:般若心経をはじめとしたお経を唱えます。般若心経の他に「光明真言」や「御宝号(おんぽうごう)」などを唱えることもあります。

5. 大師堂での参拝

本堂での参拝が終わったら、次は大師堂へ向かいます。大師堂には弘法大師が祀られており、同様の手順で参拝します。

6. 納経(のうきょう)

参拝が終わったら、納経所へ行き、御朱印をいただきます。納経所では、納経帳に御朱印を書いてもらい、八十八ヶ所を巡った証となります。 納経料:1ヶ所につき300円が相場です。 納経帳:巡礼の記録となる帳面で、巡礼者にとって貴重な宝物となります。

7. 山門を出る際の一礼

参拝がすべて終わったら、来た道を戻り、山門を出る前にもう一度一礼します。これは、聖域を後にする際の感謝と敬意を表しています。

宿の種類と確保のポイント

お遍路を行う際の宿泊場所にはいくつかの種類があります。それぞれ特徴が異なるため、自分の巡礼スタイルに合わせて選ぶことが大切です。

1. 宿坊

特徴 寺院が運営する宿泊施設です。宿坊では精進料理が提供され、朝のお勤めに参加できることもあります。仏教の雰囲気を感じながら心静かに過ごせるため、精神修行の一環として利用する人も多いです。 メリット お寺の雰囲気を体験できる 朝のお勤めに参加できる 他の巡礼者と交流できる デメリット 定員が少ないため、早めの予約が必要 門限がある場合が多い

2. 遍路宿・民宿

特徴 お遍路専用の宿泊施設や、巡礼者を歓迎する民宿です。多くはアットホームな雰囲気で、地元の料理が楽しめます。料金も比較的リーズナブルです。 メリット お遍路に理解があるため、必要な情報が得られる 他の巡礼者と情報交換がしやすい デメリット 人気が高く、シーズン中は満室になりやすい

3. ビジネスホテル・旅館

特徴 都市部や主要な交通拠点に多く、設備が充実しています。徒歩遍路よりも車遍路の人が利用することが多いです。 メリット 都市部に多く、予約が比較的取りやすい 設備が充実している(Wi-Fi、洗濯機など) デメリット お遍路に特化したサービスは少ない 料金がやや高め

4. 野宿

特徴 費用を抑えるために野宿を選ぶ巡礼者もいます。しかし、治安や体調管理の観点から、推奨される方法ではありません。 ポイント 安全な場所を選ぶ(道の駅、遍路小屋など) ゴミの持ち帰りなど、マナーを守る 宿の確保のポイント シーズン(春・秋)は早めに予約することが必要 徒歩遍路の場合、1週間先までの宿を確保しておくと安心 連休や大型イベントの時期は特に予約が取りづらいので注意

まとめ

お遍路は、四国八十八ヶ所を巡る巡礼の旅で、弘法大師(空海)の足跡をたどる日本独自の修行の形です。信仰だけでなく、自分探しや人生の節目に訪れる人も多く、徒歩や車、バスツアーなどさまざまな巡り方があります。 参拝の作法や必要な服装、費用の目安を事前に理解して準備することが大切です。また、「同行二人」という言葉にあるように、弘法大師と共に歩む気持ちで巡礼に臨むことで、心の充実や新たな気づきが得られるでしょう。 四国八十八ヶ所巡礼は、ただの観光ではなく、自己と向き合う深い旅です。自分のペースで無理なく巡り、心を込めて参拝することで、かけがえのない体験になるはずです。 四国の地で、あなた自身の内面と対話する旅を、ぜひ体験してみてください。

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