家族葬で香典返しは必要？マナーと金額の相場を詳しく解説

家族葬を選ぶご遺族が増える中、「香典返しは必要なのか？」と悩む方も多いのではないでしょうか。家族葬は親しい人だけで執り行う小規模な葬儀形式であるため、香典返しに対する考え方や対応も一般的な葬儀とは異なる場合があります。本記事では、家族葬で香典返しが必要な場合、不要な場合の基準やその際の対応方法について詳しく解説します。

1. 家族葬における香典返しの基本

香典返しとは

香典返しは、故人への弔意や喪主・遺族へのお悔やみとしていただいた香典に対するお礼の意味を込めた返礼品です。一般的には、葬儀後にいただいた香典の金額に応じて、一定の割合でお返しをする形をとります。返礼品は感謝を示すものとして重要であり、丁寧な対応が求められます。

家族葬の場合の香典返しの特徴

家族葬は、近親者や親しい友人のみが参列する小規模な形式が特徴です。このため、香典返しの対象も一般的な葬儀に比べて少人数になる傾向があります。また、家族葬では香典を辞退するケースも多く見られます。しかし、辞退を伝えていない場合や、香典をいただいた場合には、感謝の気持ちを込めてしっかりと香典返しを行うことが重要です。 ・香典を辞退する場合の注意点 香典辞退を選択する場合には、事前に参列者にその旨を明確に伝えることが大切です。案内状や口頭で「香典辞退」をはっきりと伝えることで、相手に混乱を与えることを避けられます。ただし、辞退を伝えていても香典をいただくこともあるため、その場合には通常通り香典返しを行いま しょう。 ・後日香典をいただく場合への対応 葬儀に参列できなかった方から後日香典を贈られることも少なくありません。この場合も、葬儀後に返礼品を贈ることで感謝を伝えることが必要です。挨拶状を添え、香典返しとしてふさわしい品物を選びましょう。

2. 家族葬の香典返しは必要なのか？

家族葬は親しい人だけで執り行う小規模な葬儀形式のため、「香典返しが本当に必要なのか？」と疑問に思う方も多いでしょう。結論としては、香典を受け取った場合には原則として香典返しを行うのがマナーです。ただし、家族葬の性質上、不要となるケースもあります。以下では、家族葬で香典返しが必要な場合と不要な場合について詳しく解説します。

香典返しが必要な場合

1.香典を受け取った場合 参列者から香典をいただいた場合、感謝の意を込めて返礼品を贈ることが基本的なマナーです。家族葬の規模が小さくても、いただいた香典に対して誠実に対応することが大切です。 2.後日香典をいただいた場合 葬儀に参列できなかった方から後日香典を贈られることも少なくありません。この場合も、葬儀後のタイミングで返礼品を用意して感謝を伝えましょう。 3.現金書留で香典をいただいた場合 遠方の方から現金書留で香典をいただく場合には、法要が終わってから1か月以内を目安に返礼品を送りましょう。返礼品には挨拶状を添え、郵送や宅配便で送るのが一般的です。

香典返しが不要な場合

1.香典を辞退している場合 家族葬では、喪主や遺族の意向で香典を辞退することがよくあります。この場合、香典そのものを受け取らないため、香典返しも不要となります。 2.香典そのものが発生しない場合 完全に家族だけで執り行い、参列者がいない形の葬儀では香典が発生しません。この場合、香典返しを用意する必要はありません。ただし、供花や弔電をいただいた場合は、感謝の意を挨拶状やお礼状で伝えるのが適切です。 3.供花や供物をいただいた場合 供花や供物など、香典以外の形で弔意を示された場合には、一般的に香典返しは不要とされています。ただし、高価な供花や供物をいただいた場合や、特に感謝を示したい場合には、御礼の品を送ることを検討しましょう。 4.会社名義の香典の場合 会社名義でいただく香典は、慶弔費として会社の経費に計上されるケースが多いため、香典返しを準備する必要はありません。

香典返しをしない場合の注意点

香典返しを行わない場合でも、以下の点に注意し、参列者や弔意を示してくれた方に配慮することが重要です。 1.香典辞退を明確に伝える 香典を辞退する場合には、案内状や口頭で「香典辞退」をはっきりと伝えましょう。相手に混乱を与えないためにも、辞退の理由を簡潔に説明すると良いです。 2.受け取った場合は返礼する 香典辞退を伝えていたにもかかわらず香典を受け取った場合は、その分の香典返しを行いましょう。感謝の気持ちをしっかり伝えることで、誤解を防ぐことができます。 3.挨拶状やお礼状で感謝を伝える 香典が発生しない場合や、供花や弔電をいただいた場合でも、感謝の意を挨拶状やお礼状で示すことが大切です。簡潔な文面でも、相手への誠意が伝わります。

3. 香典返しの品物の選び方と相場

香典返しの相場

香典返しの金額は、いただいた香典の3分の1から半額程度（半返し）程度が一般的です。たとえば、1万円の香典をいただいた場合、3000円～5,000円程度の品物を贈るのが目安です。ただし、香典返しの上限は1万5,000円という考えもあるため、高額な香典をいただいた場合には柔軟な対応が求められます。特に、3万円以上の高額な香典をいただいた場合は、必ずしも一般的な相場にこだわる必要はありません。 高額な香典には、「遺族を支えたい」「故人を悼む気持ちを示したい」といった贈り主の厚意や思いやりが込められています。そのため、返礼品を選ぶ際は、贈り主のお立場や気持ちを汲み取り、無理なく誠意を示せる内容で対応することが重要です。

香典返しの品物の選び方

香典返しに選ばれる品物は、日常的に使えるものや消費しやすい「消えモノ」が好まれる傾向があります。「消えモノ」とは、使ったり食べたりして形に残らない品物のことを指します。 おすすめの品物 ・食品類：お菓子、調味料、コーヒーなどの詰め合わせ ・飲料類：高級なお茶、ワイン、ジュースなど ・タオル類：ブランドタオルや今治タオルのセット ・カタログギフト：受け取った方が自由に選べるギフト形式 避けるべき品物 ・殺生を連想させるもの：肉や魚などの生もの ・縁起が悪いとされる品：刃物や割れるもの（例：包丁、グラス）

4. 挨拶状の例文と送る際のポイント

香典返しには、挨拶状を添えるのがマナーです。挨拶状には、香典や弔意への感謝を伝え、法要が無事終わったことの報告を簡潔に記載します。

挨拶状の例文

・参列いただいた方向けの例文 拝啓 このたびはご多忙中にもかかわらず 故〇〇の葬儀に際しましてご厚志を賜り 心より御礼申し上げます おかげさまで四十九日の法要も滞りなく相済ませることができましたことをご報告申し上げます いただきましたご厚情に対しまして心より御礼申し上げますとともに 故人が生前に賜りましたご厚誼に深く感謝申し上げます 本来ならば拝眉の上ご挨拶申し上げるべきところ 略儀ながら書中をもちましてお礼申し上げます 敬具 ・家族葬に列席していない方向けの例文 拝啓 このたびは故〇〇の葬儀に際しましてご弔慰を賜り 誠にありがとうございました 葬儀は故人の遺志により 近親者のみで家族葬として相済ませました 生前 故人が皆様から賜りましたご厚情に心より感謝申し上げます 本来ならば直接ご挨拶申し上げるべきところ 略儀ながら書中をもちましてご報告とお礼を申し上げます なお 心ばかりの品を別便にてお送りいたしましたのでご笑納いただければ幸いに存じます 今後とも変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます 敬具

挨拶状を送る際の注意点

1.句読点は使わない 弔事の挨拶状では、句読点を使わないのが一般的です。 2.香典返しの品に添えるか、事前に送る 挨拶状は香典返しの品と一緒に添えるか、品物が届く前に別途お送りするのが適切です。 3.忌み言葉を使用しない 「重ね重ね」「返す返す」「再び」などの重ね言葉や死を直接的に表す言葉は避けましょう。

5.香典返しを送るタイミング

香典返しのタイミングには、大きく分けて即日返しと後返しの2種類があります。それぞれの特徴と注意点を以下にまとめます。

1.即日返し

香典をいただいたその場で返礼品をお渡しする形式です。特に関西地方などでは一般的な習慣として根付いています。 ▪特徴 ・香典返しの品を事前に準備しておき、葬儀や通夜の場で参列者に手渡します。 ・四十九日を待たずにお礼を済ませるため、後日対応の手間が省けます。 ▪注意点 ・挨拶状は別途送付：即日返しの場合でも、挨拶状を後日改めて送るのが一般的です。 ・持ち帰りやすい品物を選ぶ：参列者が持ち帰りやすい軽くて実用的な品物（食品やタオルなど）を選びましょう。 ・高額な香典への対応：即日返しでは一般的な品物をお渡ししますが、いただいた香典が高額だった場合は、後日改めて追加の香典返しを贈るケースもあります。この際は、挨拶状とともに適切な返礼品を用意することが重要です。

2.後返し

葬儀後、主に四十九日法要が終わったタイミングで送る形式です。香典返しとしては最も一般的な形です。 ▪特徴 ・故人の供養が一区切りついた後に、挨拶状とともに返礼品を送ります。 ・個別に対応できるため、いただいた香典の金額に応じて返礼品を調整しやすいです。 ▪注意点 ・タイミングを守る：法要後1か月以内を目安に発送すると良いでしょう。 ・遅れると失礼にあたる：香典返しが遅れると相手に忘れられた印象を与えるため、注意が必要です。

宗教別・後返しの送るタイミング

後返し（香典返し）を送るタイミングは、宗教ごとの供養や礼拝の日程に基づいて異なります。それぞれの宗教に配慮した適切なタイミングで送ることが重要です。以下では、主な宗教ごとのタイミングを詳しく解説します。 1. 仏教 仏教では、後返しの一般的なタイミングは四十九日法要後とされています。これは、故人の魂が極楽浄土に導かれる節目として四十九日が重要な供養の時期とされているためです。ただ、浄土真宗は四十九日を待たなくても良いそうです。 ▪送るタイミング： ・四十九日法要後、1か月以内を目安に発送するのがマナーです。 ・四十九日が終わるまでは喪中の状態が続くため、法要の終了を待ってから返礼品をお送りするのが一般的です。 2. 神道 神道では、仏教の四十九日に相当する供養として五十日祭が行われます。香典返しは、この五十日祭を終えた後に贈るのが一般的です。 ▪送るタイミング： ・五十日祭の終了後、1か月以内に発送するのが適切です。 ・地域や家族の意向によっては、三十日祭（仏教でいう三十五日法要に相当）を終えたタイミングで送る場合もあります。 3. カトリック カトリックでは、故人の追悼として追悼ミサが行われます。一般的に、香典返しは「死後30日目の追悼ミサ」が終わった後に送るケースが多いです。 ▪送るタイミング： ・死後30日目の追悼ミサ（追悼の意味を込めた礼拝）が終了した後、1か月以内に発送します。 ・日本では仏教に合わせて四十九日後に送る場合もありますが、カトリックの慣習を尊重する場合は追悼ミサを基準とします。 4. プロテスタント プロテスタントでは、故人を偲ぶ礼拝として昇天記念日が行われます。香典返しは、この礼拝を終えた後に送るのが一般的です。 ▪送るタイミング： ・昇天記念日（死後1か月の礼拝）を終えた後、1か月以内に発送します。 ・プロテスタントでは「感謝」が重視されるため、挨拶状には故人を偲ぶ内容を丁寧に記載すると良いでしょう。 5. 宗教にこだわらないケース 故人や遺族が特定の宗教に属さない場合は、地域の慣習や遺族の都合に合わせて香典返しを送ります。この場合も、葬儀後の一定の期間をおいて送るのが一般的です。 ▪送るタイミング： ・仏教の四十九日や、他宗教の追悼行事に合わせて送ることが多いですが、目安としては葬儀から1か月後以降が適切です。

6. 家族葬の香典返しにおけるマナー

香典返しを行う際には、品物の選び方や方法、など、基本的なマナーを守ることが大切です。相手に失礼のない対応をすることで、感謝の気持ちをしっかりと伝えることができます。ここでは、香典返しに関するよくある疑問と基本的なマナーを解説します。

郵送での香典返しは可能？

遠方に住む方や多忙な方には、郵送で香典返しを送るのが一般的です。郵送を利用する際は以下のポイントを押さえましょう： 1.挨拶状を同封する 香典返しには、感謝の気持ちを伝える挨拶状を必ず添えます。丁寧な言葉で感謝を伝えることで、相手に誠意が伝わります。 2.梱包を丁寧に 品物が破損や汚損しないよう、しっかりとした梱包を心がけます。 3.発送後のフォローを忘れない 発送後に「お礼の品をお送りしました」と一言お知らせすると、より丁寧な印象を与えます。

香典返しののし紙について

香典返しでは、のし紙をつけるのが一般的なマナーです。適切な水引や表書きを選ぶことが重要です。 1.水引の選び方 基本的に白と黒の結び切りの水引を使用します。一部の地域では白と黄色の結び切りを使うこともあるため、地域の慣習を確認しましょう。 2.表書きの書き方 表書きには「志」と記載するのが一般的です。ただし、宗教や地域の習慣により異なる場合があるため、以下を参考に適切な表書きを選びましょう： ・仏式：「志」「忌明志」 ・神式：「偲び草」「御霊前」 ・キリスト教式：「偲び草」「召天記念」

まとめ

香典返しのタイミングや方法は地域の慣習や参列者の状況によって異なります。即日返しと後返し、それぞれの特徴を理解し、状況に応じた丁寧な対応を心がけましょう。特に、高額な香典をいただいた場合には即日返しだけで済ませず、後日改めて感謝を伝える対応が必要です。挨拶状を添えるなど、誠意が伝わる形で感謝の意を表すことが重要です。本記事を参考に、適切な香典返しを準備してください。